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セットバックとは?わかりやすく解説:基礎知識と注意点


目次[非表示]

  1. 1.セットバックとは?
    1. 1.1.セットバックの基本概念
    2. 1.2.セットバックの法的背景
  2. 2.セットバックが必要な理由
    1. 2.1.防災上の理由
    2. 2.2.都市計画との関係
  3. 3.セットバックした土地の所有権と利用法
    1. 3.1.所有権について
    2. 3.2.利用法と管理責任
  4. 4.セットバックに関する事例
    1. 4.1.駐車場トラブル
    2. 4.2. 境界線紛争
  5. 5.セットバック付き不動産購入時の注意点
    1. 5.1.建て替え時の制約
    2. 5.2.駐車位置にも注意
  6. 6.固定資産税について
  7. 7.まとめ


セットバックは、建物を建てる際に、土地と道路の境界線を後退させることを意味します。
これは主に都市計画や建築基準法に基づいて行われ、防災や交通安全、景観保護を目的としています。
本記事では、セットバックの基本概念から具体的な事例、注意点までをわかりやすく解説します。


1.セットバックとは?

セットバックとはなにか、またその法的背景について見ていきましょう

1.1.セットバックの基本概念

セットバックとは、土地の一部を道路として供出することであり、特に幅員が4メートル未満の道路に面する土地で必要とされます。
これにより、将来的な道路拡幅が可能となり、緊急車両の通行や避難経路の確保が容易になります。
セットバックは「後退」という意味を持ち、英語では「set back」と表記されます。

セットバックは単なる建築規制ではなく、地域社会全体の安全性を高めるための重要な施策です。
例えば、災害時には避難経路として機能し、日常生活では歩行者や自転車の通行空間として利用されます。
このように、セットバックは地域住民の生活環境を向上させる役割も担っています。

1.2.セットバックの法的背景

日本では建築基準法第42条第2項に基づき、道路幅員が4メートル未満の場合、中心線から2メートル後退したラインが道路境界線とみなされます。
このため、セットバック部分は建物を建てることができない区域となります。
しかし、この区域は「みなし道路」として扱われ、その土地自体の所有権は変わらず土地所有者にあります。

法的には、このセットバック部分は公共性が高いものとされており、そのため土地所有者には一定の制約が課されます。
例えば、この部分に恒久的な構造物を建てることはできず、また商業利用も制限されます。
しかし、この制約はあくまで公共の利益を守るためであり、その代わりとして一部地域では税制上の優遇措置が適用されることもあります。


2.セットバックが必要な理由

セットバックが必要となる理由は場合により様々です。
主なものは以下のとおりです。

2.1.防災上の理由

セットバックは、防災対策として重要です。
狭い道路では緊急車両が通行できないため、火災時や災害時に迅速な対応が困難になります。
セットバックによって道路幅を広げることで、安全性が向上し、地域住民の安心感も高まります。

2.2.都市計画との関係

都市計画では、地域全体の安全性や利便性を向上させるためにセットバックが求められます。
特に再開発地域や新興住宅地では、インフラ整備計画によってセットバック規制が厳格化されることがあります。
これにより地域全体として安全性や利便性が向上します。


3.セットバックした土地の所有権と利用法

セットバックした土地は誰のものになるのか、またその利用法について見ていきましょう

3.1.所有権について

セットバックした土地は基本的には元々の土地所有者の所有権に属します。
しかし、その利用には制限があります。
具体的には、建築物を建てることはできず、また恒久的な構造物(塀やフェンスなど)も設置できません。
これらは将来的な道路拡幅時に撤去が求められる可能性があるためです。

3.2.利用法と管理責任

  • 駐車スペースとして利用:
    一時的な駐車スペースとして活用することが可能ですが、恒久的な構造物は設置できないため注意が必要です。

  • 庭や緑地として整備:
    簡易な植栽やガーデニングスペースとして利用できます。
    しかし、大規模な造園工事は避けるべきです。

  • 通路として利用:
    自宅へのアプローチとして通路にすることも可能です。
    この場合も固定された構造物は設置しないよう注意します。

セットバック部分の管理責任は土地所有者にあります。
草木の手入れや清掃など、日常的な管理は所有者が行う必要があります。
また、この部分で事故やトラブルが発生した場合も、基本的には所有者が責任を負うことになります。


4.セットバックに関する事例

4.1.駐車場トラブル

ある住宅地で、セットバック部分を駐車スペースとして使用していたところ、近隣住民から不満が出たケースがあります。
この場合、駐車によって通行の妨げになっているとの指摘がありました。
解決策としては、駐車位置を調整し通行スペースを確保することで合意しました。

4.2. 境界線紛争

セットバック部分と隣接地との境界線が不明確であったため、フェンス設置時にトラブルとなった事例があります。
この場合、公図や測量士による正確な境界確認を行い、その結果に基づいてフェンス設置位置を修正しました。


5.セットバック付き不動産購入時の注意点

セットバックが必要な土地を購入する際の注意点はいくつかありますが、主な注意点は以下の2点です

5.1.建て替え時の制約

セットバック付き不動産でも建て替えることは可能ですが、その際には住宅を今ある場所よりも後ろに下げる必要があります。
購入時よりも使用できる敷地面積が狭くなるため、不動産会社や建築士とよく相談しましょう。

5.2.駐車位置にも注意

セットバック部分は道路としてみなされ、利用上の制限を受けます。
駐車スペースとしてだけでなく、門や塀の設置、物置スペースとしての使用もできないため注意が必要です。


6.固定資産税について

住宅や敷地を後退させた部分の土地は道路として提供するため、固定資産税の負担が軽くなる場合があります。
しかし、自動的に支払いが免除になるわけではありません。
固定資産税を軽減させるためには非課税適用の申請を行う必要があります。
土地の謄本や地積測量図などの必要書類を用意し申請しましょう。


7.まとめ

セットバックとはわかりやすく言えば、防災対策や都市計画上必要となる土地利用規制です。
その目的は主に安全性向上と地域利便性改善にあります。
適切な理解と管理によって、安全で快適な生活環境を維持できます。
​​​​​​​不動産購入時には特にその影響を考慮し、自分自身のニーズと照らし合わせた判断が重要です。

つくるAI株式会社 編集部
つくるAI株式会社 編集部
2024年7月、トグルホールディングス株式会社より分社化した「つくるAI株式会社」のメディア編集部。デベロッパー様が土地をもっと買えるようになり、売買仲介様の物件の価値の判断がより正確になるツールを提供しています。

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