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建築設計の未来を変えるAI:効率化と創造性の融合


目次[非表示]

  1. 1.AIが変える建築設計のプロセス
    1. 1.1.ジェネレーティブデザインの台頭
    2. 1.2.BIMとAIの連携による施工管理の効率化
  2. 2.AIによる建築設計の革新
    1. 2.1.設計最適化と構造解析
    2. 2.2.エネルギー効率の予測と最適化
  3. 3.AIを活用した建築設計の実例
    1. 3.1.大林組の「AiCorb」
    2. 3.2.テクトムの「Tektome」
  4. 4.AIが拓く建築設計の未来
    1. 4.1.アダプティブ・アーキテクチャの実現
    2. 4.2.VR/ARとAIの融合
  5. 5.まとめ


本記事では、建築設計におけるAI(人工知能)の革新がもたらす影響について探ります。
AIは設計プロセスの効率化を促進するだけでなく、創造性をも高める手段として注目されています。
具体的な活用事例や将来の展望を通じて、AIがどのように建築設計の未来を変えていくのかを詳しく解説します。


1.AIが変える建築設計のプロセス

1.1.ジェネレーティブデザインの台頭

AIを活用したジェネレーティブデザインツールにより、建築家は短時間で多様なデザイン案を生成し、検討することが可能になりました。
例えば、Autodeskの「ジェネレーティブ デザイン AI」は、設計者が指定した条件(面積、高さ制限、日照条件など)に基づいて、多数のデザイン案を自動生成します。
これにより、人間の想像力を超えた斬新なデザインや、最適化された構造を見出すことができます。

ZAHAハディド・アーキテクツのような世界的に有名な建築事務所でも、このようなAI設計支援ツールを活用して、複雑な曲面を持つ建築物の設計を効率化しています。
AIが生成した多数の案の中から、建築家が最適なものを選択し、さらに洗練させていくというプロセスが採用されています。

1.2.BIMとAIの連携による施工管理の効率化

建築情報モデリング(BIM)とAIの連携は、施工管理の効率化に大きく貢献しています。
BIMで作成された3Dモデルにデータ分析技術を組み合わせることで、施工プロセスの最適化や問題の早期発見が可能になります。

例えば、大手建設会社の清水建設は、「SHIMZ Smart Site」というAIを活用した次世代建設生産システムを開発しています。
このシステムでは、BIMデータとAIを連携させることで、建物状況に合わせてロボットが自律的に判断し、作業を行うことができます。
これにより、施工現場の生産性向上と安全性の確保が実現されています。


2.AIによる建築設計の革新

2.1.設計最適化と構造解析

AIは、建築設計において設計の最適化と構造解析に大きな貢献をしています。
大量のデータを高速で処理できるAIは、建築基準法や地域の規制などの複雑な要件を瞬時にチェックし、設計者にフィードバックを提供することができます。
これにより、人為的ミスを減らし、設計の質を向上させることが可能になります。

また、AIを用いた構造解析により、建物の安全性と効率性を高めることができます。
例えば、地震や風荷重に対する建物の挙動をシミュレーションし、最適な構造を提案することが可能です。
これにより、より安全で経済的な建築物の設計が実現します。

2.2.エネルギー効率の予測と最適化

AIは、建物のエネルギー効率を予測し、最適化する上でも重要な役割を果たしています。
AIを用いたシミュレーションにより、建物のエネルギー消費を最小限に抑える設計が可能になります。
これにより、運用コストの削減と環境負荷の低減が実現できます。

例えば、AIは建物の形状、方位、窓の配置、断熱材の選択などの要素を考慮し、最適なエネルギー効率を実現する設計案を提案することができます。
さらに、AIは気象データや使用パターンなどの情報を分析し、建物の運用段階でもエネルギー消費を最適化する制御システムを提供することができます。


3.AIを活用した建築設計の実例

3.1.大林組の「AiCorb」

大林組が開発した「AiCorb」は、AIを活用した建築設計支援ツールの好例です。
このツールは、「デザイナーAI」と「モデラーAI」という2つの機能を備えています。

「デザイナーAI」は、手描きのスケッチや建物のイメージを表現したテキストを入力することで、AIがレンダリングされたようなファサードデザイン案を生成します。
これにより、設計者は短時間で多様なデザイン案を検討することができます。

「モデラーAI」は、2次元の図面から3Dモデルを自動生成する機能です。
これにより、設計者は煩雑な3Dモデリング作業から解放され、より創造的な業務に集中することができます。

大林組の担当者は、将来的にはデザインを実現するためのコストや施工性を考慮した提案なども導き出せるツールにしたいと考えています。
これにより、より現実的な提案が可能になり、ゼネコンとしての役割をより効果的に果たすことができるようになるでしょう。

3.2.テクトムの「Tektome」

株式会社テクトムが開発した「Tektome」は、建築設計AIプラットフォームとして注目を集めています。
このプラットフォームは、自然言語を通じて建築設計データの加工、自動設計、品質チェックをサポートします。

Tektomeの特徴は、異なるフォーマットのデータを統合的に管理し、AIを通じてそのデータの価値を最大化できる点です。
3Dモデル(BIM)、図面ファイル(CAD/PDF)、文書ファイル(Word/PDF)、表データ(CSV/XSL)など、建築設計に関するあらゆるデータタイプをサポートしています。

AIが自動的に異なるフォーマットから値を見つけ出して構造化することができるため、データの統合と分析が効率的に行えます。
これにより、設計プロセス全体の効率化と品質向上が期待できます。


4.AIが拓く建築設計の未来

4.1.アダプティブ・アーキテクチャの実現

AIによるデータ分析と予測モデリングにより、環境に応じて形状や機能を変化させる「アダプティブ・アーキテクチャ」の実現が期待されています。
これにより、気候変動や都市の変化に柔軟に対応できる持続可能な建築が可能になるかもしれません。

例えば、AIが気象データやエネルギー消費パターンをリアルタイムで分析し、建物の外皮や設備システムを自動的に調整することで、常に最適な室内環境を維持しつつ、エネルギー効率を最大化することができます。
また、都市の人口動態や交通パターンの変化に応じて、建物の用途や内部レイアウトを柔軟に変更することも可能になるでしょう。

4.2.VR/ARとAIの融合

AIと仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術を組み合わせることで、建築設計のプロセスそのものが変革される可能性があります。
設計者や施主が、AIが生成した仮想空間内を歩き回りながら、リアルタイムで設計を変更・調整できるようになるかもしれません。

例えば、VR空間内でジェスチャーや音声コマンドを使って設計を修正し、AIがその変更をリアルタイムで3Dモデルに反映させる。
さらに、その変更が構造強度や法規制に適合しているかをAIが即座にチェックし、フィードバックを提供する。
このような革新的な設計プロセスが実現する日も近いかもしれません。


5.まとめ

AIは建築設計の世界に革命をもたらしつつあります。
ジェネレーティブデザイン、BIMとの連携、エネルギー効率の最適化など、AIの活用範囲は広がり続けています。
大林組の「AiCorb」やテクトムの「Tektome」のような先進的なツールは、その可能性の一端を示しています。

しかし、AIはあくまでも道具であり、それを使いこなす人間の創造性や判断力が重要であることを忘れてはいけません。
AIと人間の協働により、より安全で、効率的で、美しい建築物が生まれることが期待されます。

建築設計におけるAIの活用は、まだ始まったばかりです。
今後、技術の進化とともに、さらに革新的な応用が生まれることでしょう。
建築家や設計者は、これらの新しい技術を積極的に学び、取り入れていくことが求められます。
​​​​​​​AIとの共生を通じて、建築設計の未来はより豊かなものになっていくはずです。

つくるAI株式会社 編集部
つくるAI株式会社 編集部
2024年7月、トグルホールディングス株式会社より分社化した「つくるAI株式会社」のメディア編集部。デベロッパー様が土地をもっと買えるようになり、売買仲介様の物件の価値の判断がより正確になるツールを提供しています。

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