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セットバックの道路中心線ってどう決まるの?測量図に記載されていない時はどうする?


目次[非表示]

  1. 1.セットバックにおける道路中心線とは?
    1. 1.1. 道路中心線の定義と役割
    2. 1.2. セットバックと容積消化率の関係
  2. 2.道路中心線が分からない場合の対処法
    1. 2.1. セットバックがすでに完了している場合
    2. 2.2. セットバックが完了していないが狭隘協議は終わっている場合
    3. 2.3. セットバックも狭隘協議も完了していない場合
  3. 3.道路中心線が不明確な場合のセットバックに関連する注意点
    1. 3.1. 後退距離が長くなるケースについて
  4. 4.まとめ:セットバックの道路中心線を正しく理解しよう
    1. 4.1. 確実な方法で道路中心線を確認する重要性
    2. 4.2. セットバックに関するトラブルを防ぐために


不動産開発や土地購入を進める際、セットバックが大きな影響を及ぼすことがあります。
特に、2項道路など幅員が4m未満の道路に面した物件では、道路中心線がどこにあるのかを正確に把握する必要があります。
しかし、測量図にその中心線が記載されていない場合や、中心線の位置が不明確な場合には、どう対処すれば良いのでしょうか?
この記事では、道路中心線の定義や役割、そして中心線が不明な場合の対処法について解説します。


1.セットバックにおける道路中心線とは?



1.1. 道路中心線の定義と役割

「道路中心線」とは、道路の幅員を基準に、道路の中央部分を示す線のことです。
建築基準法では、幅員が4m未満の道路に面している土地に建物を建てる際、道路の中心線から2m後退させることが求められています。
これが「セットバック」と呼ばれるもので、安全性や交通の円滑化を目的として設定されています。

道路中心線は、建物の設計や建築確認申請を行う際に非常に重要です。
道路中心線が確定しない場合、敷地の一部をどこまでセットバックするべきか不明なため、建築物の計画が遅延する可能性があります。


1.2. セットバックと容積消化率の関係

セットバックにより、敷地の一部が道路用地として扱われることになるため、建物を建築できる有効面積が減少します。
これが「容積消化率」にも影響を与えます。
建物の容積率は、敷地面積に対する建築物の延床面積の割合で決まるため、セットバックによって有効な敷地面積が減ることで、建物の最大容積が制限されることになります。

特に、不動産開発業者にとっては、この容積率が事業の収益性に直結するため、セットバックの影響は大きな要因となります。
そのため、中心線の正確な位置を確認し、適切な容積消化を行うことが求められます。
2項道路以外にも道路斜線の緩和目的でセットバックすることもあります。
道路斜線緩和のセットバックと容積消化の変化について知りたい方は下記の記事からご覧ください。

関連記事:【3Dでわかりやすく】セットバックとは?どうして道路斜線が緩和されるの?


2.道路中心線が分からない場合の対処法



では、道路中心線が分からない時はどのような対処をすることが求められるのでしょうか。
ここでは、道路中心線が分からない場合の対処方法について記載していきます。


2.1. セットバックがすでに完了している場合

2項道路に接している物件で、セットバックが必要だと思って焦ってしまうことがありますが、実はすでにセットバックが完了しているケースも少なくありません。
特に古い物件では、過去の建築時にセットバックが既に行われていることがあります
そのため、セットバックがすでに完了しているかどうか、まずはしっかり確認することが重要です。

①近隣の物件の確認
近隣の物件でセットバックが完了している場合、その敷地の位置や境界を参考にすることができます。官民境界が確定していれば、その延長線上に中心線を見積もることが可能です。
これは、測量を行う前に簡易的に確認できるポイントです。

②行政への確認
セットバックが完了しているかどうか、地域の建築指導課や道路管理課に確認することができます。
役所が保有している公的な資料や記録から、セットバックの履歴や道路中心線の正確な位置を特定することが可能です。


2.2. セットバックが完了していないが狭隘協議は終わっている場合

二項道路に面した土地の場合、狭隘協議(道路の拡幅に関しての協議)が行われていることがあります。
この協議が完了していれば、今後行うセットバックの範囲や道路中心線が確定している可能性があります。

①狭隘協議の記録を確認する
狭隘協議が完了している場合、その記録が残っているため、役所や自治体で確認することができます。
過去の協議内容から、中心線がどこにあるかを判断できます。

②測量士への依頼
狭隘協議の記録が曖昧な場合は、測量士に依頼して現地の正確な測量を行い、道路の幅員や中心線を確認するのが確実です。


2.3. セットバックも狭隘協議も完了していない場合

セットバックも狭隘協議も完了していない場合は、慎重に対処する必要があります。
このケースでは、関係者との協議や行政との手続きが必要となり、時間と労力がかかる可能性があります。

①測量士を活用する
まずは測量士に依頼して、道路幅や中心線を正確に測定することが重要です。
特に、道路幅員が一定でない場合や私道に面している場合には、専門家による正確な測量が欠かせません。
測量結果を基に、まず官民境界を決定します。

②行政への相談と向かいの地権者との協議
そして、セットバックや狭隘協議が未了の場合、行政に相談して協議を開始する必要があります。
特に、建築確認申請の際にはこの協議が条件となることが多いため、早めに手続きを進めることが大切です。
また、協議を進めるには、道路の向かい側に住む地権者との立会いのもとで協議を行い、双方が合意することが求められます。
これにより、中心線の位置やセットバック範囲を確定することが可能になります。


3.道路中心線が不明確な場合のセットバックに関連する注意点



3.1. 後退距離が長くなるケースについて

セットバックの距離は通常、道路の幅を4mにするために必要な距離を基に決定されます。
しかし、特定のケースでは後退距離が通常よりも長くなることがあります。

① 道路向かいが川である場合

通常、道路に面する土地は、向かい合う両側の敷地所有者がそれぞれセットバックを行い、道路幅を確保します。
たとえば、現状の道路幅が3.4mの場合、向かいにも土地がある場合には、0.3mのセットバックで道路幅を4mにすることが可能です。
しかし、向かい側が川である場合、道路向かいに土地が存在しないため、後退距離を分け合うことができません
このため、0.3mで済むところが、自分の土地で0.6mのセットバックをしなければならないという状況が発生します。
このようなケースでは、より広い後退距離が必要になるため、特に注意が必要です。

② 道路中心線が中心からずれている場合

道路の形状や歴史的な経緯によって、物理的な道路の中央が中心線と一致しないことがあります。
この場合、道路中心線を基準にしてセットバックを行うため、予定よりも後退距離が長くなる可能性があります。
こうしたズレは、行政や測量士の協力を得て、正確な道路中心線を確認することが重要です。


4.まとめ:セットバックの道路中心線を正しく理解しよう

セットバックは、不動産開発や建築計画において非常に重要な要素です。
特に道路中心線が正確に把握できていない場合、後々のトラブルや建築確認の問題に発展する可能性があります。
ここで、セットバックの正しい理解と確認方法について振り返りましょう。


4.1. 確実な方法で道路中心線を確認する重要性

道路中心線は、建物の配置や後退距離を決定するために欠かせない要素です。
測量図に記載されていない場合や不明確な場合には、必ず測量士に依頼し、正確な中心線を確認することが重要です。
中心線を誤って把握したまま建築を進めると、後で大幅な修正を余儀なくされる可能性があり、これが工事費用や工期に影響を与えることも考えられます。


4.2. セットバックに関するトラブルを防ぐために

セットバックに関するトラブルを未然に防ぐためには、事前の確認と正確な情報収集が鍵となります。
特に、向かい側に川がある場合や道路中心線がずれている場合など、特殊なケースでは専門家や行政のサポートを受けて確実に対応することが大切です。
​​​​​​​さらに、セットバックの履歴や過去の協議内容も確認し、適切な手続きを踏んでおくことで、安心して建築計画を進めることができます。




つくるAI株式会社 編集部
つくるAI株式会社 編集部
2024年7月、トグルホールディングス株式会社より分社化した「つくるAI株式会社」のメディア編集部。デベロッパー様が土地をもっと買えるようになり、売買仲介様の物件の価値の判断がより正確になるツールを提供しています。

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