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用途地域が2つにまたがる土地の開発と活用:知っておくべき重要ポイント


目次[非表示]

  1. 1.用途地域とは
  2. 2.用途地域が2つにまたがる場合の基本的な考え方
    1. 2.1.面積按分による判断
    2. 2.2.過半の原則の適用
    3. 2.3.厳しい方の規制の適用
  3. 3.用途地域が2つにまたがる土地での建築制限
    1. 3.1.建築物の用途制限
    2. 3.2.建ぺい率・容積率の制限
    3. 3.3.高さ制限
    4. 3.4.日影規制
  4. 4.用途地域が2つにまたがる土地の開発事例
    1. 4.1.事例1:住宅地と商業地域の境界線上の開発
    2. 4.2.事例2:工業地域と住居地域にまたがる土地の再開発
  5. 5.用途地域が2つにまたがる土地の活用のポイント
    1. 5.1.事前の十分な調査と計画 ​​​​​​​
    2. 5.2.行政との綿密な協議
    3. 5.3.周辺環境との調和
    4. 5.4.柔軟な設計アプローチ
    5. 5.5.法的制限の正確な理解
  6. 6.まとめ


土地の開発や活用を検討する際、用途地域は非常に重要な要素です。
特に、一つの土地が複数の用途地域にまたがる場合、その取り扱いには注意が必要です。
この記事では、用途地域が2つにまたがる土地の開発と活用について、知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。


1.用途地域とは

まず、用途地域について簡単に説明しましょう。
用途地域とは、都市計画法に基づいて定められた、土地利用の制限を設ける地域区分のことです。主に以下の12種類があります


  • 第一種低層住居専用地域

  • 第二種低層住居専用地域

  • 第一種中高層住居専用地域

  • 第二種中高層住居専用地域

  • 第一種住居地域

  • 第二種住居地域

  • 準住居地域

  • 近隣商業地域

  • 商業地域

  • 準工業地域

  • 工業地域

  • 工業専用地域

これらの用途地域ごとに、建築可能な建物の種類や規模が定められています。


2.用途地域が2つにまたがる場合の基本的な考え方

土地が2つの用途地域にまたがる場合、その取り扱いには特別な配慮が必要です。
基本的な考え方は以下の通りです


  1. 面積按分による判断

  2. 過半の原則の適用

  3. 厳しい方の規制の適用

これらの考え方について、詳しく見ていきましょう。

2.1.面積按分による判断

用途地域が2つにまたがる土地では、それぞれの用途地域の面積に応じて建築物の用途や規模を判断します。
例えば、ある土地の60%が第一種住居地域、40%が近隣商業地域にまたがっている場合、それぞれの地域の規制を面積比で適用します。


2.2.過半の原則の適用

土地の過半(50%超)が一方の用途地域に属している場合、その用途地域の規制が適用されることがあります。
これを「過半の原則」と呼びます。ただし、この原則はすべての場合に適用されるわけではありません。


2.3.厳しい方の規制の適用

安全性や環境保護の観点から、2つの用途地域のうち、より厳しい方の規制が適用されることがあります。
これは、周辺環境への影響を最小限に抑えるための措置です。


3.用途地域が2つにまたがる土地での建築制限

用途地域が2つにまたがる土地で建築を行う場合、以下のような制限に注意が必要です

  • 建築物の用途制限

  • 建ぺい率・容積率の制限

  • 高さ制限

  • 日影規制

これらの制限について、詳しく解説します。

3.1.建築物の用途制限

用途地域が2つにまたがる場合、それぞれの用途地域で認められている建築物の用途を考慮する必要があります。
例えば、住居地域と商業地域にまたがる土地では、住居地域側に商業施設を建てることは制限される可能性があります。


3.2.建ぺい率・容積率の制限

建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合)と容積率(延べ床面積の敷地面積に対する割合)は、用途地域ごとに異なります。
2つの用途地域にまたがる場合、それぞれの面積に応じて加重平均を計算し、適用する建ぺい率・容積率を決定します。


3.3.高さ制限

建物の高さ制限も用途地域によって異なります。2つの用途地域にまたがる場合、より厳しい方の高さ制限が適用されることが多いですが、地域の実情に応じて判断されることもあります。

3.4.日影規制

日影規制は、建物が周辺に及ぼす日影の影響を制限するものです。
用途地域が2つにまたがる場合、それぞれの地域の日影規制を考慮する必要があります。


4.用途地域が2つにまたがる土地の開発事例

実際に、用途地域が2つにまたがる土地の開発事例を見てみましょう。

4.1.事例1:住宅地と商業地域の境界線上の開発

東京都内のある地域で、第一種中高層住居専用地域と近隣商業地域の境界線上に位置する土地の開発が行われました。
この開発では、以下のような工夫がなされました


  • 住居地域側に集合住宅を配置

  • 商業地域側に店舗や事務所を配置

  • 中間部分に共用施設や緩衝帯を設置

この事例では、それぞれの用途地域の特性を活かしつつ、調和のとれた開発が実現されました。

4.2.事例2:工業地域と住居地域にまたがる土地の再開発

大阪府のある地域で、準工業地域と第二種住居地域にまたがる土地の再開発が行われました。
この再開発では、以下のような対応がとられました


  • 準工業地域側に小規模な工場や倉庫を配置

  • 住居地域側に集合住宅と公園を整備

  • 両地域の境界に緩衝緑地帯を設置

この事例では、異なる用途の共存を図りつつ、環境に配慮した開発が実現されました。


5.用途地域が2つにまたがる土地の活用のポイント

用途地域が2つにまたがる土地を効果的に活用するためのポイントをまとめます

  • 事前の十分な調査と計画

  • 行政との綿密な協議

  • 周辺環境との調和

  • 柔軟な設計アプローチ

  • 法的制限の正確な理解

5.1.事前の十分な調査と計画 ​​​​​​​

用途地域が2つにまたがる土地を開発する際は、まず徹底的な調査が必要です。
具体的には以下のような項目を確認します


  • 各用途地域の正確な境界線

  • それぞれの用途地域における建築制限

  • 周辺の土地利用状況

  • 地域の将来計画

これらの情報を基に、最適な開発計画を立案します。

5.2.行政との綿密な協議

用途地域が2つにまたがる土地の開発は複雑になりがちです。
そのため、計画段階から行政と綿密に協議を行うことが重要です。
以下のような点について、事前に確認しておくとよいでしょう。


  • 建築物の用途制限の解釈

  • 建ぺい率・容積率の計算方法

  • 高さ制限の適用方法

  • 必要な許認可手続き


5.3.周辺環境との調和

用途地域が2つにまたがる土地の開発では、周辺環境との調和が特に重要です。
以下のような点に配慮しましょう。


  • 異なる用途間の緩衝帯の設置

  • 景観への配慮

  • 交通や騒音などの環境影響の最小化


5.4.柔軟な設計アプローチ

2つの用途地域の特性を活かしつつ、制限をクリアするためには、柔軟な設計アプローチが必要です。

  • 建物の配置や形状の工夫

  • 複合用途建築物の検討

  • 段階的な開発計画の立案


5.5.法的制限の正確な理解

用途地域が2つにまたがる土地の開発では、法的制限を正確に理解することが不可欠です。
建築基準法や都市計画法だけでなく、地方自治体の条例なども確認しましょう。
必要に応じて、専門家(建築士、不動産鑑定士、弁護士など)のアドバイスを受けることも検討してください。


6.まとめ

用途地域が2つにまたがる土地の開発と活用は、複雑で難しい課題ですが、適切に対応すれば大きな可能性を秘めています。
本記事で解説した基本的な考え方や注意点、活用のポイントを押さえつつ、専門家のアドバイスも取り入れながら、最適な開発計画を立てていくことが重要です。
​​​​​​​
土地の特性を活かし、周辺環境との調和を図りつつ、創造的な開発を実現することで、地域の価値向上にも貢献できるでしょう。
用途地域が2つにまたがる土地は、制約が多い反面、ユニークな開発の機会でもあります。
​​​​​​​この特性を活かした魅力的な開発プロジェクトが、今後も増えていくことが期待されます。









つくるAI株式会社 編集部
つくるAI株式会社 編集部
2024年7月、トグルホールディングス株式会社より分社化した「つくるAI株式会社」のメディア編集部。デベロッパー様が土地をもっと買えるようになり、売買仲介様の物件の価値の判断がより正確になるツールを提供しています。

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