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【2025年版】天空率計算ソフトの選び方ガイド|無料ソフトからBIM連携まで

目次[非表示]

  1. 1. 天空率計算ソフトの種類とそれぞれの特徴
    1. 1.1. タイプ①:高機能で信頼性も高い「専用ソフト」
    2. 1.2. タイプ②:設計と一体で検討できる「BIM/CADのアドオン」
    3. 1.3. タイプ③:学習用途に適した「無料ソフト」
    4. 1.4. 【比較表】各タイプのメリット・デメリット
  2. 2. 後悔しない!天空率計算ソフト選び 5つの重要ポイント
    1. 2.1. ポイント①:自社の設計ワークフローと連携できるか?
    2. 2.2. ポイント②:計算精度と法的根拠は信頼できるか?
    3. 2.3. ポイント③:操作性は直感的か?学習コストは?
    4. 2.4. ポイント④:サポート体制とアップデート頻度は十分か?
    5. 2.5. ポイント⑤:導入費用とランニングコストは見合っているか?
  3. 3. 天空率ソフトを最大限に活用するためのヒント
    1. 3.1. ソフトはあくまで「思考支援ツール」と心得る
    2. 3.2. 目的別に複数のソフトを使い分けるという選択肢
    3. 3.3. ソフト導入と併せて検討すべきこと
  4. 4.まとめ

天空率制度は、設計の自由度を大きく向上させる強力な武器ですが、その計算は非常に複雑です。無数の測定点から見える空の割合を三次元的に解析する作業は、手計算では事実上不可能と言えるでしょう。そこで不可欠となるのが、「天空率計算ソフト」の存在です。

現代の建築設計において、天空率ソフトは単なる計算機ではありません。ボリュームスタディの段階でリアルタイムに天空率をシミュレーションし、設計者の思考をサポートしてくれる、まさに「相棒」とも呼べるツールです。

しかし、一口に天空率ソフトと言っても、専用ソフトからBIMのアドオン、さらには無料ソフトまで、その種類は多岐にわたります。この記事では、あなたの設計スタイルや事務所のワークフローに本当に合った天空率ソフトを見つけ出すための、選び方のポイントを徹底的にガイドします。

1. 天空率計算ソフトの種類とそれぞれの特徴

まずは、現在市場に存在する天空率ソフトを大きく3つのタイプに分類し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

1.1. タイプ①:高機能で信頼性も高い「専用ソフト」

これは、天空率の計算のためだけに開発された専門的なソフトウェアです。

  • 特徴:

    • 天空率計算に特化しているため、複雑な敷地形状や建物形状、高低差のある条件など、様々なケースにきめ細かく対応できます。

    • 計算精度が非常に高く、多くのソフトがJCBA(日本建築行政会議)の基準に準拠していることを明記しており、確認申請での信頼性が高いのが最大のメリットです。

    • 三斜求積図や天空図、計算表など、確認申請に必要な図書を一式作成する機能が充実しています。

  • 代表的なソフト: 建築設計業界で長年の実績を持つ、いくつかの定番ソフトがこのカテゴリに含まれます。

  • おすすめな人: 実施設計や確認申請業務で、天空率計算を頻繁に行う設計事務所。複雑な案件を扱うことが多い方。

1.2. タイプ②:設計と一体で検討できる「BIM/CADのアドオン」

普段お使いのBIMソフトや汎用CADソフトに追加する、アドオン(プラグイン)形式の天空率計算機能です。

  • 特徴:

    • 使い慣れたBIM/CADのインターフェース上で、設計作業と天空率の検討をシームレスに行えるのが魅力です。設計変更を行えば、即座に天空率への影響を確認できます。

    • 特に、企画・基本設計段階でのボリュームスタディにおいて絶大な効果を発揮します。様々な建物形状を試しながら、リアルタイムで天空率の可否を判断できます。

    • BIMモデルと連動するため、データの二重入力の手間が省け、業務効率が大幅に向上します。

  • 代表的なソフト: RevitやArchiCADといった主要なBIMソフトには、標準機能またはオプションとして天空率計算ツールが用意されています。

  • おすすめな人: 設計プロセス全体をBIMで完結させたい設計事務所。企画段階から積極的に天空率を検討したい方。

1.3. タイプ③:学習用途に適した「無料ソフト」

数は少ないですが、Webブラウザ上で簡易的に天空率を計算できる無料のソフトやツールも存在します。

  • 特徴:

    • 最大のメリットはもちろんコストがかからない点です。天空率の基本的な概念や、セットバックの効果などを視覚的に学ぶためのツールとして非常に有用です。

    • 多くの場合、機能が限定的であり、複雑な条件には対応できません。また、計算の法的根拠や精度が保証されていないことが多いため、注意が必要です。

  • 注意点:

    • 無料ソフトの計算結果を、確認申請にそのまま使用することは推奨されません。あくまで学習用途や、設計の初期段階での当たりをつけるための参考として利用するのが賢明です。

  • おすすめな人: 天空率をこれから学びたい学生や設計初学者。本格的なソフト導入前のお試しとして。

1.4. 【比較表】各タイプのメリット・デメリット

タイプ

メリット

デメリット

専用ソフト

・計算精度と信頼性が高い
・複雑な条件に対応可能
・申請図書作成機能が充実

・導入コストが高い
・CADデータとの連携が別途必要
・操作習得に時間がかかる場合がある

BIM/CADアドオン

・設計と天空率検討を一体化できる
・設計変更への追従性が高い
・企画段階のスタディに最適

・専用ソフトほどの詳細設定はできない場合がある
・BIMソフト自体の導入が前提となる
・アドオンの費用が別途必要

無料ソフト

・コストが一切かからない
・手軽に試せる
・学習用途に最適

・機能が限定的
・計算精度や法的根拠が不明確
・実務や申請には使用できない

2. 後悔しない!天空率計算ソフト選び 5つの重要ポイント

自社に最適なソフトを選ぶためには、どのような基準で評価すればよいのでしょうか。ここでは、後悔しないための5つの重要チェックポイントをご紹介します。

2.1. ポイント①:自社の設計ワークフローと連携できるか?

最も重要なのは、ソフトが自社の設計ワークフローにスムーズに組み込めるかという点です。例えば、BIMを中心に設計を進めている事務所が、連携機能のないスタンドアロンの専用ソフトを導入すると、データの変換や二重入力の手間が発生し、かえって非効率になる可能性があります。逆に、2D-CADがメインの事務所であれば、高機能なBIM連携ツールは宝の持ち腐れになるかもしれません。自社の現状のワークフローを分析し、どの段階で天空率を検討したいのかを明確にすることが、ソフト選びの第一歩です。

2.2. ポイント②:計算精度と法的根拠は信頼できるか?

天空率の計算結果は、建築確認申請という法的な手続きに使われるものです。したがって、その計算ロジックが建築基準法や関連告示、JCBAの基準に準拠しているかどうかが極めて重要です。多くの有料ソフトは、公式サイトなどで準拠する基準を明記しています。また、特定行政庁ごとの解釈の違い(ローカルルール)にどこまで対応しているかも、実務上の信頼性に関わる重要なポイントです。体験版などで、自社がよく扱うエリアの計算が可能か試してみるのも良いでしょう。

2.3. ポイント③:操作性は直感的か?学習コストは?

どんなに高機能なソフトでも、操作が難解で使いこなせなければ意味がありません。インターフェースが直感的で、誰でも基本的な操作をすぐ覚えられるかどうは重要な評価軸です。特に、スタッフの入れ替わりがある組織では、学習コストの低さは見逃せないポイントになります。多くのソフトで無料の体験版が提供されているので、実際に触ってみて、操作感を確かめることを強くお勧めします。

2.4. ポイント④:サポート体制とアップデート頻度は十分か?

法改正や新しい解釈が出た際に、ソフトが迅速にアップデートされるかどうかも重要です。長年アップデートが止まっているソフトは、現在の法規に対応できていない可能性があるため注意が必要です。また、操作で分からないことやトラブルがあった際に、電話やメールで気軽に質問できるサポート体制が整っているかも確認しましょう。充実したサポートは、導入後の安心感に繋がります。

2.5. ポイント⑤:導入費用とランニングコストは見合っているか?

ソフトの価格は、買い切り型、年間ライセンス(サブスクリプション)型など様々です。初期の導入費用だけでなく、毎年の更新料やサポート費用といったランニングコストも含めたトータルコストで判断することが大切です。そのソフトを導入することで得られる業務の効率化や、受注できる案件の増加といったメリットが、コストに見合っているかを冷静に評価しましょう。

3. 天空率ソフトを最大限に活用するためのヒント

最後に、導入した天空率ソフトをより効果的に活用するためのヒントをいくつかご紹介します。

3.1. ソフトはあくまで「思考支援ツール」と心得る

天空率ソフトは、ボタンを押せば自動的に最適な解を出してくれる魔法の箱ではありません。あくまで、設計者の思考をサポートし、アイデアを検証するためのツールです。なぜこの形状で天空率がクリアできたのか、クリティカルな測定点はどこか、といった計算の背景にある理屈を理解することが重要です。ソフトに頼りきるのではなく、ソフトを使いこなすという意識を持ちましょう。

3.2. 目的別に複数のソフトを使い分けるという選択肢

予算が許せば、目的別に複数のソフトを使い分けるのも非常に有効な戦略です。例えば、企画段階ではBIM連携ツールでスピーディにボリュームを検討し、実施設計や確認申請の段階では、信頼性の高い専用ソフトで詳細な計算と図書作成を行う、といった使い分けです。それぞれのソフトの良いとこ取りをすることで、設計プロセス全体の質と効率を最大化できます。

3.3. ソフト導入と併せて検討すべきこと

天空率ソフトを導入する際は、同時に社内での運用ルール作りや研修を行うことをお勧めします。誰がどのタイミングでソフトを使うのか、データの管理方法は、といったルールを決めておくことで、スムーズな導入と定着が可能になります。また、ソフトの提供元が開催する操作セミナーなどを活用し、社内のスキルレベルを底上げすることも重要です。

4.まとめ

今回は、設計業務の強力な味方となる「天空率計算ソフト」について、その種類から選び方のポイント、活用法までを詳しく解説しました。

最後に、この記事の要点を振り返ります。

  • 天空率ソフトには、高機能な「専用ソフト」、設計と一体化した「BIM/CADアドオン」、学習用の「無料ソフト」の3タイプがある。

  • ソフトを選ぶ際は、「ワークフローとの連携性」「計算の信頼性」「操作性」「サポート体制」「コスト」の5つのポイントを総合的に評価する。

  • ソフトは思考を支援するツールであり、その背景にある法規や理屈を理解することが、使いこなすための鍵となる。

  • 自社の状況に合わせて最適なソフトを選び、活用することで、設計業務は劇的に効率化し、その質も向上する。

天空率ソフトは、もはや現代の建築設計における必須インフラです。この記事を参考に、ぜひあなたの事務所に最適な「相棒」を見つけ出し、設計の可能性をさらに広げてください。

つくるAI株式会社 編集部
つくるAI株式会社 編集部
2024年7月、トグルホールディングス株式会社より分社化した「つくるAI株式会社」のメディア編集部。デベロッパー様が土地をもっと買えるようになり、売買仲介様の物件の価値の判断がより正確になるツールを提供しています。

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