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容積率とは?簡単に理解するためのガイド: 計算方法と注意点


目次[非表示]

  1. 1.容積率とは?
    1. 1.1.基本概念
    2. 1.2.容積率の目的
  2. 2.容積率の計算方法
    1. 2.1.基本的な計算式
    2. 2.2.前面道路幅による制限
  3. 3.容積率緩和の特例
    1. 3.1.条件
    2. 3.2.緩和事例
  4. 4.用途地域ごとの容積率
    1. 4.1.住宅系用途地域
    2. 4.2.商業系用途地域
    3. 4.3.工業系用途地域
  5. 5.容積率と不動産投資
    1. 5.1.投資判断への影響
    2. 5.2.リスクとリターン
  6. 6.まとめ


本記事では、容積率の基本概念から計算方法、注意点までを詳しく解説します。
容積率は、建物を建てる際に非常に重要な指標であり、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合を示します。
都市計画や建築基準法に基づいて定められ、地域ごとの特性や環境を考慮した土地利用を促進します。


1.容積率とは?

1.1.基本概念

容積率は、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合を示すもので、都市計画法や建築基準法によって規定されています。
例えば、敷地面積が100平方メートルで、延べ床面積が150平方メートルの建物の場合、容積率は150%となります。
これにより、土地利用の効率性と環境保護を両立させることができます。

容積率は、建築物の規模を制限する重要な要素の一つです。
この制限により、過密な都市開発を防ぎ、適切な日照や通風、オープンスペースの確保などが可能となります。
また、インフラ整備との調和も図られ、住みやすい街づくりに貢献しています。

1.2.容積率の目的

容積率は、都市環境の保護や公共施設とのバランスを保つために設定されています。
過剰な開発を防ぎ、地域の住環境を守るために重要な役割を果たしています。
これにより、居住者は快適で安全な生活環境を享受でき、不動産価値の安定にも寄与します。

具体的には、以下のような目的があります。

  • 都市の秩序ある発展:
    容積率規制により、無秩序な高層化を防ぎ、計画的な都市開発が可能になります。

  • 生活環境の保護:
    適切な容積率設定により、日照権や通風、景観などが守られます。

  • インフラ負荷の調整:
    人口密度を適切に保つことで、道路や上下水道などのインフラへの負荷を調整します。

  • 防災性の向上:
    過密な建築を防ぐことで、災害時の避難や消防活動のスペースを確保します。


2.容積率の計算方法

2.1.基本的な計算式

容積率は以下の計算式で求められます。

[容積率(%)= 建物の延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100]

例えば、1階が80平方メートル、2階が60平方メートルの2階建て住宅であれば、延べ床面積は140平方メートルです。
敷地面積が100平方メートルの場合、容積率は140%になります。

この計算方法は簡単ですが、実際の建築計画では様々な要素を考慮する必要があります。
例えば、バルコニーや地下室、屋上の利用可能部分など、延べ床面積に含まれる部分と含まれない部分を正確に把握することが重要です。

2.2.前面道路幅による制限

前面道路の幅が狭い場合、容積率がさらに制限されることがあります。
これは、防災や交通安全上の理由からです。
具体的には、前面道路が12メートル未満の場合、その幅に応じた乗数を掛けて容積率を計算します。

  • 住居系地域: 前面道路幅 × 0.4 × 100
  • 商業・工業系地域: 前面道路幅 × 0.6 × 100

例えば、前面道路が5メートルの場合、住居系地域では200%、商業系地域では300%が上限となります。
この規制は、狭い道路に面した土地での過度な開発を防ぎ、緊急車両の通行や避難経路の確保など、安全性を担保するために設けられています。
ただし、この制限は地域の特性や都市計画によって異なる場合があるため、具体的な計画時には地方自治体に確認することが重要です。


3.容積率緩和の特例

3.1.条件

都市計画によって定められた容積率には緩和条件があります。
例えば、「地下室」や「ビルトインガレージ」は延べ床面積に含まれないため、その分だけ容積率が緩和されます。
また、「特定道路」に接する場合なども緩和されることがあります。

その他の緩和条件には以下のようなものがあります。

  • 総合設計制度:
    公開空地を設けることで容積率が割り増しされます。

  • 特定街区制度:
    都市機能の増進に寄与する建築物に対して容積率が緩和されます。

  • 高度利用地区:
    土地の合理的かつ健全な高度利用を図るため、容積率の最高限度が引き上げられます。

これらの緩和措置は、都市の質的向上や機能的な土地利用を促進するために設けられています。

3.2.緩和事例

ある住宅地で地下室を設けた場合、その部分は延べ床面積に含まれないため、実質的な容積率が低く見えることがあります。
このようなケースでは、法律上許可された範囲内でより広い居住空間を確保できる可能性があります。

具体的な事例として、東京都内のある再開発プロジェクトでは、公開空地の設置により容積率が400%から600%に緩和されました。
これにより、より高層の建築物が建設可能となり、効率的な土地利用と同時に、地域住民のための広場やグリーンスペースも確保されました。


4.用途地域ごとの容積率

4.1.住宅系用途地域

住宅系用途地域では、安全で静かな住環境を維持するために厳しい容積率制限があります。
例えば、「第一種低層住居専用地域」では低層住宅のみが許可されており、高層建築は認められていません。


具体的な容積率の例:

  • 第一種低層住居専用地域:80%~100%

  • 第一種中高層住居専用地域:100%~200%

  • 第二種中高層住居専用地域:200%~300%

これらの制限により、住宅地の環境や景観が保たれ、居住者の生活の質が確保されています。

4.2.商業系用途地域

商業系用途地域では、多様な商業活動を促進するために比較的高い容積率が設定されています。
これにより、大規模な商業施設やオフィスビルの建設が可能となり、経済活動が活発化します。


具体的な容積率の例:

  • 近隣商業地域:200%~300%

  • 商業地域:400%~1300%


高い容積率により、都市の中心部では高層ビルが建ち並び、効率的な土地利用が可能となります。
ただし、周辺環境への影響も考慮する必要があります。

4.3.工業系用途地域

工業系用途地域では、生産活動を支援するために一定の容積率制限があります。
しかし、大規模工場など環境負荷が高い施設については別途規制が設けられることがあります。


具体的な容積率の例:

  • 準工業地域:200%~300%

  • 工業地域:200%~400%

  • 工業専用地域:200%~400%


これらの地域では、工場や倉庫などの建設が可能ですが、周辺環境への配慮も必要となります。


5.容積率と不動産投資

5.1.投資判断への影響

容積率は不動産投資判断にも大きく影響します。
高い容積率はより多くの床面積を利用できるため、不動産価値を高める要因となります。
しかし、それだけでなく周辺環境や市場動向も考慮した総合的な判断が必要です。

投資判断の際には、以下の点を考慮することが重要です。

  • 将来の開発可能性:
    現在の建物が容積率を最大限利用していない場合、将来的な増築や建て替えの可能性があります。

  • 収益性:
    高い容積率は潜在的な賃貸収入の増加につながる可能性があります。

  • 市場需要:
    容積率が高くても、その地域の需要に合わなければ投資価値は低くなります。

  • 規制変更のリスク:
    将来的な容積率の変更可能性も考慮する必要があります。


5.2.リスクとリターン

高い容積率地域への投資は、高収益を狙える一方でリスクも伴います。
市場需要や規制変更など、不確定要素にも注意しながら慎重に判断することが求められます。

例えば、東京都心部の高容積率地域への投資は、高い賃料収入が期待できる反面、不動産価格の変動リスクも高くなります。
また、建築コストの上昇や環境規制の強化など、予期せぬ要因によって投資計画が影響を受ける可能性もあります。

一方で、適切な容積率管理は持続可能な都市開発にも貢献します。
例えば、容積率の移転制度を活用することで、歴史的建造物の保存と新規開発の両立が可能になるケースもあります。


6.まとめ

今回は「容積率とは簡単に」をテーマに、その基本概念から計算方法、緩和条件まで詳しく解説しました。
土地利用や不動産投資において重要な指標である容積率について理解を深めることで、安全かつ効率的な土地活用が可能になります。
不動産購入や開発時には、この知識を活かして最適な選択肢を見つけましょう。

容積率は単なる数値ではなく、都市計画や地域の特性、環境保護、経済活動など、多様な要素が絡み合う複雑な概念です。
そのため、容積率を考慮する際には、法律や規制だけでなく、地域社会への影響や将来的な都市の発展なども視野に入れる必要があります。

適切な容積率の設定と運用は、持続可能な都市開発の鍵となります。
今後も、技術の進歩や社会のニーズの変化に応じて、容積率に関する規制や考え方も進化していくでしょう。
​​​​​​​不動産に関わる全ての人々が、この重要な指標について深い理解を持つことで、より良い街づくりと効果的な不動産活用が実現されることを期待します。

つくるAI株式会社 編集部
つくるAI株式会社 編集部
2024年7月、トグルホールディングス株式会社より分社化した「つくるAI株式会社」のメディア編集部。デベロッパー様が土地をもっと買えるようになり、売買仲介様の物件の価値の判断がより正確になるツールを提供しています。

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